愛知県西部、伊勢湾と三河湾に囲まれて南に突き出すように広がる知多半島は、水に恵まれ穏やかな風が流れる土地です。西岸の常滑市は、瀬戸や信楽などと並び、日本六古窯の1つとして栄えてきました。陶都として広く知られるこの地は、さまざまな地域からもたらされた多彩な文化と伝統を融合させることで一層の発展を遂げます。
盛田は、知多半島・小鈴谷の地で1665年から酒造りを続けています。伊勢湾に面する小鈴谷には、冬になると「伊吹おろし」と呼ばれる寒風が吹きますが、この新鮮な空気の流れが酒造りに適した環境をつくります。厳冬の季節に蔵人たちは、厳選された米と水を使い、熟練の技で酒を仕込みます。新たな伝統づくりへの情熱が盛田の味を支えています。
酒造りに続き、1708年からは東海地方の食文化に欠かすことのできない「豆みそ」と「たまりしょうゆ」の醸造も開始しました。濃厚な旨みとコク深い味わいが特長で、見た目にもつややかな仕上がりは人々の食欲をそそります。
1665年 清酒醸造開始
1708年 みそ・たまりの醸造開始
1868年 しょうゆ醸造開始
1898年 盛田合資会社設立
1900年 パリ万博に清酒、しょうゆを出品
1945年 盛田合資会社営業再開
1947年 株式会社山泉商会発足
1954年 「赤だしみそ」発売
1955年 盛田合資会社より盛田株式会社へ改組
1959年 即席調味料つゆの素「ダンチ」発売
1969年 ねのひ寮1号店(銀座)オープン
1971年 みりん風調味料発売
1981年 清酒「盛田」発売
1981年 盛田国際教育振興財団設立
1983年 焼酎乙類「六花」発売
1984年 鈴渓資料館開館
1988年 工場清酒部、紙パック工場竣工
1990年 味の館開館
1992年 食品ブランドをヤマイヅミから盛田に変更
1992年 「名店シリーズ」発売
1993年 工場食品部、新充填ライン竣工
1993年 大谷工場竣工
1994年 「今夜はシリーズ」発売
1996年 盛田本社ビル竣工
1998年 大谷工場瓶詰ライン・物流倉庫
2000年 ISO9002:1994取得
2003年 ISO9001取得
2014年 「トリュフソース」発売
2015年 今夜はシリーズ改め「フライパンでかんたんシリーズ」発売
主原料は大豆ですが、用いる麹によって「米みそ」「麦みそ」「豆みそ」の3種類に大別されます。また、食塩や麹の量、醸造期間を変えることで、「辛みそ」「甘みそ」といった味わいの違いが生まれます。 さらに原料の配合比率、熟成期間、大豆の加熱方法(蒸す・煮る)の違いから生じる色の差により、「赤みそ」「淡色みそ」「白みそ」に分類されます。
「豆みそ」とは、原料に米を使わず、大豆と塩のみで作られた長期熟成みそのことで、愛知、三重、岐阜の3県を中心に生産されています。その特長は、濃い色と濃厚な旨みとコク、そして加熱しても損なわれにくい独特な香りです。一般的な米みそと比較すると塩分が低く、良質な大豆タンパクを多く含むことから、健康重視の時代に見直されつつあるタイプのみそです。
盛田の豆みそ造りは、人為的な温度調節を一切行わない伝統的な天然醸造製法です。愛知県知多半島にある盛田の小鈴谷工場には、木桶で豆みそを発酵・熟成させる天然醸造蔵があり、木桶は、古いものでは江戸時代から修繕を重ねながら大切に使われています。
古くから木桶に棲みついている微生物などにより、四季をめぐりながら時間をかけてじっくりと発酵・熟成された豆みそ――。色、香りともに優れ、風味豊かに仕上がります。
みその味わいを大きく左右するのが麹造り。盛田では、特に手間をかけて麹菌を繁殖させています。さらに、そうして繁殖させた麹菌をより活性化するためのひと工夫も。みそ玉を比較的小型(ピンポン玉大)に成型することで、発酵期間が短縮され、酸味成分が少なくなり、旨みであるアミノ酸が豊富になります。
みその醸造を始めた1708年以来、木桶で仕込む天然醸造での伝統的な製法を活かしつつ、
時代にあった風味のみそを造り続けています。
大豆を水に浸して十分に水をしみこませ、圧力をかけて蒸します。大豆に含まれるタンパク質はみその旨み成分になります。
冷却した大豆を玉握り機にかけて、みそ玉をつくります。 盛田では麹菌をより働きやすくするため、みそ玉を小さめに成型しています。
みそ玉に麹菌をまぶし、温度変化を加えつつ、途中みそ玉を返して、約2 日間、麹菌を繁殖させます。でき上がったみそ玉をつぶし、水と塩を合わせて攪拌(かくはん)します。
もろみを木桶などの仕込桶に移し、布のカバーなどでフタをしたら、約1.5トンの重石をのせます。 1年から2年ほど熟成させて完成です。
※盛田では昔ながらの技術を活かしながら、大型タンクでの製造も行っています
刻んだ豆みそを布で包み、だしの中でゆすり出した汁が赤茶色だったことが名前の由来との説もある「赤だし」。主に、豆みそに米みそを合わせてつくるみそ汁のことをいい、もともとは料亭などで出されていました。昭和29年、 盛田は、それまで料理人たちが豆みそと米みそを合わせて作っていた赤だし用みそを「赤だしみそ」と名付けて日本で初めて商品化。料亭の味が家庭でも手軽に楽しめるようになりました。